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院長の臨床メモcolumn

2012.03.16

かゆみに当帰飲子(漢方薬)が著効した透析患者さん

透析患者さんの一つの苦しい症状にかゆみがあります。

特に男性はスキンケアができておらず、冬になると特にかゆいようです。

7●さいの男性です。

元々かゆみがあって、市販のローションを塗っておられました。

しかし「中からくるかゆみ」ということであり効果は限定的でした。

当院ではヒスタミン拮抗薬を処方しましたが効きませんでした。

セレスタミンを処方して一時的に効きましたが、セレスタミン自体にステロイドが入っていて長期投与できないことと効果がいまいちであったことから中止としました。

次に血液透析患者さんのためのかゆみ止めであるレミッチを投与しました。

このレミッチが効いて、しばらくはレミッチと市販ローションで何とかなっていました。

しかしこの冬、かゆみが悪化し、どうしようかと悩んだ結果漢方を使ってみようという話になりました。

もともと皮膚がかさかさで、冷え症で、さらに血のめぐりが悪い患者さんですので、当帰飲子という漢方薬にしました。

黄連解毒湯という漢方もありますが、冷え症であり、味の問題もあって、次の選択肢においておきました。

そうしたところ2週間後に効果が出現し、徐々に回復し、現在もかゆみはあまり気にならないくらいまでになりました。。

はじめはまずくて飲めないという感じでしたが、効いてきたこともあり、今では可愛く思えるようです。

また、この漢方を内服してから数年前からあった耳鳴りも消失したようです。

漢方の生薬の効き目で血液の流れがよくなったと考えられます。

漢方は苦いものもあり、飲みにくいですが、ご本人と合えば予想以上の効果が表れることはよく経験します。

このようにひとつでも患者さんの症状をなくしていきたいと思います。