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院長の臨床メモcolumn

2011.08.12

いい血圧の値なのに…

“血圧がもともとも高いから下がるとふらついてしんどい”

これって時に患者さんから聞く言葉です。

確かにその通りなんです。
透析患者さんで高血圧が以前からあった方は10年以上血圧が高い状態で過ごされてきたと思います。

血圧が下がってふらつく=脳への血流が低下する

本来血圧が80-140の間では血圧が変動して脳の血流は一定(自己調節機能)しており、脳に負担なく絶えずいい血液量が流れています。

例えば、急に血圧が80に低下したり、140に上昇しても脳の血液には影響を与えないよう体が調節してくれているということです。

ただ、高血圧が10年以上、160-200など高い状態が続くと、脳も高血圧に慣れていってしまうのです。

つまり、160-200が当たり前で脳には心地よく、本来コントロール良好とされている120ではしんどくてふらついてたまらなくなってしまいます。

このような方が透析中に急速な血圧低下をきたすと、脳のバランス不良を起こし、著しい意識障害が起こる可能性があります。

血圧が高くれ慣れている方の透析中の血圧低下には十分注意しないといけません。
そのような方がいったん血圧が低下すると脳の回復が遅く、しばらく立ったり歩いたりできなくなる可能性が高いと思われます。

また、このような方に対して血圧を下げるときはゆっくり、ゆっくり下げなければいけません。
特にドライウェイトを減らすときは要注意です。
ゆっくりゆっくりドライウェイトを目指すべきでしょう。
決して、無理な除水はしないようにしましょう。