先月、「明日の腎臓を守る会」という研究会に参加いたしました。
その中で循環器科の先生が講演されました。
最近腎臓病が注目されてきており、それを受けて「心臓専門医」もカテーテル治療をされる場合に「腎臓」に大変気を配っておられます。
なぜ、「心臓」の検査で「腎臓」に気を配るか?
心臓カテーテル検査では「造影剤」を使用します。
造影剤は腎臓から排泄され、腎臓に負担を与えます。
特に腎臓病があるからには不安を与えやすくなります。
また糖尿病のある方にはさらに注意が必要です。
造影剤で腎臓が悪くなる病気を「造影剤腎症」といいます。
カテーテル専門医はこの造影剤腎症をおこさないように工夫をされています。
・造影剤を極力少なくする工夫。(推定GFR×1ml・1回使用量)
・検査前から検査後にかけて点滴をして予防する。
・検査の数か月前から脂質異常症の薬(EPAやスタチン系)を処方する。
特に、造影剤を少なくするということは大変難しいと思います。
造影剤は血管をよく見るために薬剤であり、カテーテル治療には必須です。
これを少ない量で治療しようと思うと熟練の技術が必要だと思います。
心臓をよくして、「造影剤腎症」を起こさないように工夫と苦労をされているカテーテル専門医には頭が下がります。
このような取り組みが循環器学会でも広がってくれれば、我々腎臓専門医もうれしいですし、何より患者さんにとって有益なことになると思います。