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院長の臨床メモcolumn

2017.09.06

腎代償性肥大について

腎臓病の外来をしてみますと時に

「もともと腎臓が片方しかないんです」

という方がいらっしゃいます。

確かにエコーをすると腎臓が左右どちらかの一方しかなくて、反対側は見えません。

また、残っている方の腎臓のサイズは通常10㎝くらいに対して12-13㎝くらいあります。

腎臓は片方しかない場合、代償性に大きくなることがあります。

腎臓の中はどうなっているかというと、

血液を濾す「糸球体」も拡大しますし、尿の通路である「尿細管の直径」も大きくなります。

また、腎動脈、葉間動脈、弓状動脈、小葉間動脈などの腎内動脈もサイズが大きくなり、さらに長さも長くなります。

循環血液量も多くなり、ろ過率も上昇します。

そのため、腎臓は片一方になってもサイズが大きくなり、ろ過率が上昇し、排泄してくれるので機能として維持できます。

ただ、高血圧には要注意です。

高血圧は腎臓内の動脈硬化をきたすので、片腎の場合では特に、ろ過率が低下しやすくなります。

もちろん糖尿病も機序は違いますが、よくはありません。

ですから、片腎の場合は生活習慣病にならないように普段から塩分など含めて生活習慣には注意を払う必要があります。