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院長の臨床メモcolumn

2013.02.23

下肢のつり~カルニチン欠乏の面から

カルニチンという筋肉のエネルギー代謝に重要な物質があります。

カルニチンは赤肉や乳製品に含まれており、体内でも肝臓・腎臓・脳で合成されます。

透析患者さんではこのカルニチンが不足~欠乏しているといわれています。

理由としては食事制限があること、透析膜からカルニチンが除去されてしまうこと、腎臓でカルニチンが作られないことが挙げられます。

そのため透析が始まって徐々にカルニチンが不足し3年後には随分と少なくなると報告されています。

症状として一番多いのが下肢のつりです。

透析の除水(水引き)とともに下肢のつりは生じやすいですが、それとは関係なしにつりやすい方はこのカルニチン不足を疑ってもいいと思います。

治療方法としては薬物療法が主体となります。

エルカルチン錠を300-900㎎(体重あたり10-20㎎が目安)を内服します。

すると1か月くらいたたない前にこむら返りが減ってきます。

非常に効果が高い薬だと思います。

また近々エルカルチンの注射薬も発売されるようです。

体内吸収の点からは注射薬のほうがいいかもしれませんが、経口薬は連日内服に対して、注射薬は透析毎となるため頻度が異なります。

どちらの方法がいいかは今後の検討になってくると思われます。

エルカルチンの他の期待できる効果としては

① 腎性貧血の改善、赤血球寿命の延長

② 透析中の低血圧の軽減

③ 心臓の収縮力の増加や心肥大の軽減

④ 運動能力(QOL)の改善

などが報告されています。

大切な効果判定に関しては通常3-6か月といわれています。