近々、インフルエンザが流行してくるでしょう。
インフルエンザの場合、38度以上の発熱や咳などがあれば、流行期の場合、診断率が高いと言われています。
一方でインフルエンザ迅速検査の感度は6割から7割程度。
インフルエンザ検査の結果が陰性だった場合、本当にインフルエンザではないのか?という点が常に問題になります。
基本的には陰性の場合、インフルエンザではないと判断し、インフルエンザの薬も処方しません。
原則はそうですが、それ以外の要素を考慮する時があります。
たとえ陰性であっても、「臨床の感」としてインフルエンザだろうと思われる場合で、感染症が悪化しやすいハイリスクの患者さん、入試などの人生の重大イベントを控える場合など患者さんの状況を考慮しないときの場合。
もちろん、正しいとは言えませんが、ドクターの価値観はそこにもあるかもしれません。
インフルエンザワクチンが国民の4人から5人の1人行われていることからも、「インフルエンザ」というウイルス感染は国民全体が認知している感染症です。
それだけに自分自身の体はもちろん、周囲への配慮等を心配される方々が多くいらっしゃいます。
我々医師は、病因を特定し、それに対する治療を選択するのが原則で、インフルエンザも迅速検査が陽性の場合、インフルエンザウイルス感染という原因が特定されたわけなので、それに従い抗生剤を投与します。
ただ、迅速検査があるがゆえに「医師としての臨床の感」が応用できない場合はあります。
例えば、ウイルス感染が疑わしいけど、細菌感染も否定的ない場合、念のため抗生物質を処方することがあります。
しかし、このインフルエンザ迅速検査の場合、陽性と陰性がはっきり分かれていますので陰性では抗生剤を出さないということになります。
「医師としての臨床の感」が出しづらいのです。
念のために出しておこうということが極めてしづらいということです。
もちろん、臨床の感に頼りっきりになってしまうと、正診率や耐性菌の問題以外にも、世の中にはインフルエンザが増大し、学校や職場に多大なる影響が出てくるのは間違いありません。
結果的にインフルエンザでなかった場合は良いのですが、迅速検査は感度が決して良好ではない、遅れて陽性になることがあるだけに、迅速検査は非常にありがたく、非常に便利なのですが、迅速検査があるが故に難しいこともあります。