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院長の診療日記column

2020.08.30

インフルエンザ検査での鼻前庭部からの採取

(概要)

・成人では一般的にインフルエンザ迅速検査は、鼻咽頭や咽頭から採取する。

・新型コロナウイルス感染症が発生してからは、同部位からの採取は、医療従事者のコロナウイルス感染症の曝露の危険性が高くなり、推奨されていない。

・今冬のインフルエンザ迅速検査の採取方法に関しては以前より問題視されていた。

・日本感染症学会の提言によると、

フローチャートに、インフルエンザ迅速検査の採取部位は

「鼻咽頭、鼻かみ、鼻前庭」と記されている。

・鼻前庭ぬぐい液がインフルエンザ検査に有用であるという報告がある。

 

(感想と印象)

・鼻前庭部からの採取に関しては確証を持てるのかどうか?

・インフルエンザ迅速検査の説明書では、これまで鼻前庭部は「×」、鼻咽頭「○」というような説明がある。

・感染症学会の提言の中のインフルエンザ検査において、鼻咽頭と鼻前庭部との感度を調べた報告が引用されている。鼻咽頭のほうが感度は良かったものの統計的には鼻前庭部でも十分な感度はあった。しかし、この論文に用いられていたのは、我々が普段用いている迅速キットではなく、PCRでの報告である。

・PCRと迅速キットでは新型コロナウイルスでも感度の違いが問題視されている。それは鼻咽頭に限らず、唾液でも同様である。

・この提言は非常によくできていて、臨床に即しているものと思われるが、インフルエンザ検査における、鼻前庭部からの採取に関する報告はこの一つしか引用されていない。しかも、PCRやウイルス分離における報告であり、迅速検査の報告ではない。迅速キットのほうが感度が落ちるとしても、鼻咽頭と鼻前庭との差はない可能性があるが、迅速キットの報告がないことは不安材料である。

・迅速キットでの論文が引用さえていなかったのはこれまでの報告がないからであろう。今冬の報告が待たれる。