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院長の臨床メモcolumn

2012.09.24

[アルコール性肝硬変]:気をつけましょう~お酒の飲みすぎ

先週金曜日に透析の方ではありませんが、吐血で救急搬送された患者さんがいらっしゃいました。

大量に吐血し、出血性ショックの状態でした。

輸液を行い、血圧が安定したところで緊急胃カメラを行いました。

胃カメラでは「血の海」状態でした。

どんどん血が出てくる状態で、視界が悪く、どこから出血しているかがよくわからない状態でした。

血液を吸引し、また輸血をしながら胃カメラで出血点を探しました。

場所は食道と胃のつなぎ目のやや下から出血していました。

病名は胃食道静脈瘤破裂です。

通常は可能であればEVLという内視鏡的手術を行います。

出血しているところを内視鏡ですいこんで、吸いこんで餅のように「プクッ」と球状になった瞬間に根っこのところを輪ゴムでくくります。

そうなると「プクッ」と膨らんだ所には血液がいかなくなりますので、出血が止まります。

しかし今回の場合は、ちょうどそのEVLがしにくい場所でしたので内視鏡的に出血点をクリップしました。

場所が難しく、2度か出血点をはずしましたが、何とか最終的には止血しました。

同日の2回目の胃カメラの時に、違う場所でいまにも出血しそうなところがあったのでその食道静脈瘤に対してはEVLを行いました。

現在も出血なく経過しており安心しました。

このようなに食道や胃に静脈瘤ができる原因として肝臓病があります。

特に肝硬変という肝臓病でも進んだ病気の合併症として発生します。

C型肝炎でもなる場合がありますが、この方は飲酒量が多く、かつ飲酒歴が長い方でした。

病名はアルコール性肝硬変です。

常習飲酒家は日本酒換算で3合以上。

大酒家は日本酒換算で5合以上、5年以上。

女性の場合はその3分の2程度とされています。

はじめはアルコール性肝炎や脂肪肝で済んでいますが、徐々に肝臓が硬くなってくると肝硬変になります。

肝硬変は出血以外にも脳や腎臓や胸にも悪影響を及ぼす可能性があります。

そこまで飲まれている方は少ないと思いますが、もし飲まれている方は1年に1度は血液検査やエコー検査を行っておきましょう。