透析患者さんの鉄分不足による貧血に対して鉄剤を使用することがあります。
その際に、TSATという鉄の利用率が20%未満+フェリチン(貯蔵鉄)100未満で「鉄剤」を開始するという指針があります。
TSAT+フェリチンの指標の両方を満たす必要があり、どちらか一方では適応にはなりません。
貧血には鉄の補充が必須です。
しかしその鉄剤も活性酸素を高めてしまうなどのデメリットもあります。
ですから、安易な鉄分の補充は控えたほうがいいと思います。
それでは、フェリチンは多いほうがいいのかどうか?
一番理想は「フェリチンが少なくて、ヘモグロビンが高い方」(グラフで青線)
この方は鉄分を有効利用できて、貧血もコントロールもいいのでしょう。
反対に一番よくないのは「フェリチンが高くて、ヘモグロビンが低い方。」(グラフで赤線)
鉄分をうまく使えないのでしょう。
ですからヘモグロビンがよければ、無理やり鉄剤を入れる必要もないと思います。
少ない鉄分でも有効利用できているのですから。
不思議なのは「フェリチンが低く、さらにヘモグロビンが低い方」(緑線)のほうが「フェリチンが高く、さらにヘモグロビンが高い方」に比べて予後がいいということ。
これを見ると「フェリチン濃度は高くない方がいいで、基本的には100以下で抑えたほうがいいのでしょうね。」
安易な鉄剤投与は控えましょう。