透析患者さんは10人に1人はHCVを保有しているといわれています。
そのうち、5人に1人は肝細胞癌に罹患していると報告されています。
HCVで心配なのが、進行すると肝硬変や肝細胞がんになる可能性があるということです。
このHCVに関してはここ3年で治療が大幅に進歩しています。
私が研修医だったころはインターフェロンしかありませんでしたが、その後、インターフェロンと併用する経口ウイルス剤であるリバビリンが発売され、2012年以降は内服薬の種類が増えています。
しかも有効率、ウイルス消失率も上昇しています。
2012年にテラビック、2013年にはソブリアード、2014年にはダクルインザとスンベプラ、今年に入ってソバルディ、そして新聞にも出ていたハーボニー。
このうち、ソバルディはセログループ2のみですが、それ以外はセログループ1に対する治療薬となります。
頻度としては日本人の割合では、70%の患者さんがインターフェロンが効きにくいセログループ1となります。
その分、治療薬がどんどん開発されてきているわけです。
透析学会のHCVガイドラインは2011年に発刊されているので、これらの新しいHCV治療薬に関しては記載されていません。
ではこれらの新しい治療薬は透析患者さんでも使用できるのか?
基本的にはインターフェロン(PEGでも)使用しづらい透析患者さんはこれらの新しいHCV治療薬を選択できれば初回治療から選択したいところです。
●テラビック、ゾブリアード:ゾブリアード自体では禁忌ではありませんが、リバビリンと併用が必要なため使用できない。
●ダクルインザ+スンベプラ:透析患者さんの情報はまだ少ないが禁忌ではない。
●ソバルディ:リバビリンと併用が必要であるため使用できない。
●ハーボニー:推定GFR30未満では使用できない。併用薬が不要で、ウイルス消失率もかなり効率なので期待していただけに残念です。
まだ、開発中の薬もありますし、臨床試験もかなり進んでいるそうです。期待したいところですね。