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院長の臨床メモcolumn

2015.07.13

第18回播磨透析フォーラム~鉄のお話

先週土曜日、姫路キャッスルホテルで「鉄代謝を考える腎性貧血治療」の特別講演を聞きに行ってきました。

この講演名を聞くと、どなたが演者なのか、想像つく人はつくと思います。

透析、腎臓病の鉄代謝の大家である、兵庫医科大学の中西健教授です。

特に鉄の囲い込みの機序については第1人者で、話を聞くのを楽しみにしていました。

今回は、鉄のお話、鉄代謝(鉄の取り込みと汲み出し、鉄のリサイクル)、フェリチン目標値など色々をお話をいただきました。

特に興味を持ったのが、細胞内の鉄の取り込みの話。

どうすれば、鉄の囲い込みをなくすことができるのか?

炎症や鉄過剰で鉄を取り込んでいる可能性がありますが、鉄の囲い込みは全身の細胞で行われ、細胞障害が起こる可能性があるというのです。

鉄の囲い込み自体をなくす薬は現段階ではないようですが、少なくとも、鉄の過剰投与は細胞障害を引く起こす点からはよくありませんし、さらに鉄がいくらあっても(フェリチンが高値)であっても、造血に働きません。

フェリチンは50以上は最低必要ですが、それ以上は理論的には必要がないようです。

私も基本的にはフェリチン100未満ではなく50未満を目標にしています。

つまり、50以上で鉄補充をしています。

貯蔵鉄が多いと死亡率や心血管イベントも高くなります。

特にフェリチンが高くて、Hbが低い方。

今回のご講演では多くは時間を割かれませんでしたが、EPOに比べて、CERA(ミルセラ)のほうが鉄の囲い込みを改善させることができるようです。

投与数日後から、フェリチン、ヘプシジンが減少し、網状赤血球が増加し、鉄が使われ、造血に働きます。

そこら辺をもう少し話してほしかったのですが、時間がなかったのでしょうか、聞けずに残念です。

いずれにしろヘプシジンをコントロールできる治療が鉄利用障害、機能性鉄欠乏症を打開できる治療になると考えます。