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院長の臨床メモcolumn

2013.04.13

☆透析後半に血圧が下がりやすい方への透析条件の変更

当院で通院透析をされている患者さんがいます。

透析後半に血圧が下がることが時にあり、やはり血圧が低下するとつらくなり、帰宅後もしんどいようです。

心臓エコーをすると大動脈弁狭窄症がありました。

しかし程度は手術をするほどではありません。

大動脈弁狭窄は心臓から血液を拍出するときの「出口」です。

出口が狭いために、心臓から十分な血液量がでにくくなります。

透析患者さんの場合、特に透析後半に血液量が少なくなりますので、大動脈弁狭窄症を持っておられる方は余計に血液量が不足し血圧が下がりやすくなります。

当院ではそのような透析後半に血圧が下がりやすい方に「間歇補液透析」をできる透析機械を採用しています。

間歇補液透析はある時間ごと(たとえば30分毎)に体内に補液(透析液)を入れて、血液量を増やす透析です。

当院では30分毎に200mlずつ入れています。

「30分毎200mlいれたら、その200ml分増えるのでは?」という疑問がわくと思います。

200mlは2分で入れますが、その入れた分の200mlは透析中に徐々に時間をかけて引きます。

ですから、入れる時は「ザー」っといれて、抜くときは時間をかけて引きます。

早く入れることによって、血液流量は増えて、血圧は安定します。

これを30分ごとに繰り返していると、透析後半の血圧低下がかなりましになります。

この患者さんも間歇補液透析を始めてから透析後半の血圧は下がらないようになりました。

とても喜んでおられます。

透析中の血圧低下はとてもつらいものです。

つらい症状を可能な限りとっていくのも透析クリニックの務めです。