漢方を勉強してから患者さんを見る視点が変わりました。
患者さんを精神的に支え、生じるかもしれない合併症を予防していくことが透析室の回診としては重要です。
透析室を患者さんをはじめ、スタッフにとっても居心地のいい空間をつくる、安心感を与えることのできる環境をつくる、それも医師として大切なことだと思います。
透析の清浄化、透析時間の延長、食事指導、降圧剤や血糖降下剤などの内服管理も重要です。
しかし漢方と出会って思ったことは、透析や一般内科の知識では到底届かない悩みを患者さんは持っているということです。
いい透析をすることで患者さんの予後は確実に増えると思いますし、元気でかつ長生きできることを目標にしております。
そのなかでもやはり透析の合併症か、年齢のせいか、何かのきっかけかは色々ですが、いろんな体の悩みを持っています。
我々もそうです。
腰が痛い、膝が痛い、すぐ疲れる、だるい、首が痛くて回らない、足が痛くて眠れない、かゆい、イライラする、お腹が張るなど色んないくつもの悩みを持っている方が多いような気がしてなりません。
今、書いたような症状はよくある症状であり、それを当たり前と思っている症状だと思います。
その当たり前の症状に対して西洋医学は極めて弱いと思います(僕の中で)。
漢方薬は少なくとも西洋医学よりはかなり広くそのような症状に対して届くことができ、楽にさせることができると思います。
透析患者さんは水分制限やカリウムの問題の問題はありますが、飲めないことはありません。
楽になっている患者さんもいます。
僕は透析専門医で、東洋医学専門医ではありません。
西洋(現代)医学を基本としながらも東洋医学を適切に現場で使うことによって透析では補えないところまでとどかせようと考えています。
ひょっとしたらそれも透析医療の中に含まれるのかもしれません。