血清カルシウム濃度が高ければ高いほど血管石灰化と中心とした異所性石灰化が発生します。
また10mg/dl以上が続くと3年生命予後にも影響を与えてしまいます。
血清Ca値はそれだけ重要な観察項目と言えます。
透析学会では血清Ca濃度は8.4-10mg/dlを基準としております。
食事からのカルシウムは比較的吸収が悪いミネラルなので通常40‐50%くらいとされています。
しかしカルタンやビタミンD(アルファロールなど)を内服することによってカルシウムは上がりやすくなります。
他に大切なものとしてインタクトPTHに代表される副甲状腺ホルモンも大きくかかわってきます。
では透析液のカルシウムはどうか?
アメリカの先生のお話では透析液のカルシウム負荷は食事によるカルシウム負荷の1/10、カルタンの1/30といわれたようです。
透析液のカルシウム負荷は少ないといえますが、これを聞くとカルタンというのは食事以上にカルシウムが吸収されているといえます。
ただ実際、週3回の透析と続けているとどうしても透析液からのカルシウムも体に影響が出てきます。
カルシウム濃度が2.0mEq/Lの低い透析液濃度では少なすぎます。
カルシウム濃度が3.0mEq/Lとなると別に量としては多くはないとは思いますが、カルシウムの負荷が増え、高カルシウム血症が出現する可能性があります。
どちらがいいのか?
それは患者さんでも変わってきますし、先生の判断にもよります。
ビタミンDの色んな有効な効果を重んじるのであれば透析液が2.5mEq/Lでもいいと思います。
ビタミンDをあまり使っていない施設であれば3.0mEq/Lを使っていると思います。
3.0mEq/Lの方が心臓での1回心拍出量が増加し、血圧が維持しやすいというメリットもあります。
その間のカルシウム濃度2.75mEq/Lの透析液が3月に扶桑薬品から発売されます。
これまでカルシウムに注目し、自施設でわざわざ2.75mEq/Lを作っている施設もあったようです。
2.75mEq/Lは使いやすい透析液だと思います。
ここにカーボスターも入ってきますから、長所短所を理解しつつ透析液を使わなければなりません。
ちなみに当院はカーボスターを発売当初から使用しております。
カーボスターに固執しないよう幅広く情報を得たいと思います。