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院長の臨床メモcolumn

2024.10.08

ビスホスホネート製剤の休薬

〇ビスホスホネート製剤とは?
骨のリモデリング過程で破骨細胞による骨吸収を抑制することで骨密度を維持させる。
① 破骨細胞のアポトーシス誘導: ビスホスホネートは破骨細胞に取り込まれ、アポトーシス(プログラム細胞死)を誘導します。これにより、破骨細胞の数が減少する。
② メバロン酸経路の阻害: 破骨細胞の機能に必要なメバロン酸経路の酵素であるファルネシルピロリン酸シンターゼを阻害する。これにより、破骨細胞の機能が低下する。

●なぜ、投与するのか?
骨粗鬆症で骨折予防におけるエビデンスが非常に高い。椎体骨折、大腿骨骨折、非椎体骨折すべてにおいて推奨レベルAである。ビタミンD、エビスタもA-Cである。
高齢者(特に女性)は50歳以降骨量が低下するため、骨密度での骨量低下の時点で(骨粗鬆症前)の時点での内服も検討する。骨折予防の点から非常に有用であり、適応患者も多い。

〇商品名
アレンドロン酸(ボナロン):第剤と経口ゼリー剤、点滴静注剤
イバンドロン酸(ボンビバ):錠剤と点滴静注剤がある。
リセドロン酸(ベネット):透析はダメ
ミノドロン酸(ボノテオ):錠剤がのみ

〇骨粗鬆症の代謝マーカー
骨形成マーカー:BAP,P1NP
骨吸収マーカー:NTX,TRACP-5b(骨吸収マーカーは治療開始時と治療開始6か月以内の合計2回のみ保険適応となっている)

〇ビスホスホネート製剤は一生ものでない。
骨粗鬆症は、
骨の形成<骨の吸収。
ビスホスホネート製剤は、破骨細胞に長く存在するため、長く投与しすぎると、
骨の形成>>骨の吸収
というアンバランスな状態となる。
「骨が強くなっていいのでは?」と思われるが、非定型大腿骨骨折(原因不明)といわれる非外傷性骨折を発することがあるため、ある一定期間を過ぎれば休薬が推奨されている。

〇休薬期間は?
1-3年

〇休薬が心配な方は?
骨密度検査で-2.5SD以下、骨折の繰り返しなど骨折ハイリスク患者に対しては、イベニティ、プラリアに変更する。

ただ、休薬は必須ではない。骨折予防>ビスホスホネート製剤による非定型骨折という報告もあるため継続する場合もある。