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院長の臨床メモcolumn

2024.06.08

慢性腎臓病と脳の動脈硬化

脳と腎臓の血管構造は似ていて、たとえば、高血圧などの動脈硬化の原因になる病気によって動脈が傷みます。

この時、脳や腎臓の細動脈が障害され、腎臓であれば尿蛋白が出たり、糸球体というフィルターが硬くなって機能が低下してきます。

脳の細動脈が障害されると、小さい脳梗塞(無症候性脳梗塞)、微小出血、大脳白質病変という大脳の内側の神経のネットワークの影響が出てきます。

いずれにしろ初めは症状が出にくい障害ではありますが、徐々に血管が傷んでくると腎不全になったり、症状が出る(たとえば麻痺や呂律障害)ような脳梗塞が出てきます。

これら脳と腎臓との関連を“脳腎連関”と言います。

重要なことは、脳に起こりえる動脈硬化は腎臓病に起こり、その逆も然りということです。

脳の症状はなかなか表には出ません。

反対に腎臓は尿や血液検査で脳よりは表には出やすいといえます。

腎臓病の原因が高血圧などの動脈硬化性疾患の場合、きちんと血圧を管理することで、腎臓だけではなく、同時に脳卒中の予防を行っていることになるといえます。