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院長の臨床メモcolumn

2011.08.01

夏場の透析

暑い日が続きますね。
これから2ヶ月くらいはこんな日が続くのかもしれません。

暑くなってきて思うことは患者さんの透析後の立ちくらみが多くなってきたことです。
熱中症のような症状はなく、食事量も変わらずきているのですが血圧が低くなっている方がいらっしゃいます。

透析中は比較的安定しているのですが、透析後あるいは透析終了後の食後に立ちくらみが多くなってきている印象を受けます。

まず降圧剤を減量し、それでも血圧が低下する場合はドライウェイトがあっていないのかと思い胸部エックス線やハンプ(血液検査)やインボディーをしてみました。しかしそれ程ドライウェイトがきついとも思えません。

やはり気候が左右しているのかもしれません。

気温の上昇とともに、自律神経のバランスが崩れます。とくに体温の放出を抑えるために血管を収縮させていた交感神経の働きは低下します。そのため血管がひらいてしまうのです。

血管がひらくと流れがよくなり、血圧が下がっていいと思われます。

しかし透析で水を引くと季節に限らず血圧が下がりやすくなります。
寒いと血管が収縮して血圧が下がらないように自然としてくれます。

夏場は暑いので血管がひらき、さらに除水するので血圧が下がりやすくなります。

夏場の血圧低下に伴う立ちくらみの一因にはこうした目に見えない自律神経(交感神経)の働きの低下が関与していると思われます。

ですからこのような方には夏場は起こりやすいという説明を行い、そのうえで透析終了直後の移動はゆっくりとして頂き、食後の観察と安静の指示は必須です。