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院長の臨床メモcolumn

2016.10.17

鉄欠乏と心臓病

透析をしていると鉄欠乏になって、時に鉄剤を注射したり飲んだりします。

最近では鉄が少なくなって、リンが高いときにはリオナ、ピートルという鉄含有リン吸着剤を使用します。

しかし、鉄は多すぎると体に悪い?ということであまりたくさん鉄剤を投与しないことになっています。

一方で最近は鉄欠乏状態は体に良くないという報告があります。

欠欠乏状態は血小板が凝集しやすく、血小板数が多くなるので、血栓ができやすく、心筋梗塞や脳梗塞になりやすいというデータもあります。

また鉄欠乏だとFGF-23という尿毒素が上昇し、心不全や心肥大になる可能性があります。
(リオナを飲むと、FGF-23が低下するというデータがあります)

ということで鉄欠乏状態は多すぎてもいけないが、少ない状態では心臓には良くないというのです。

ではどのように投与するのでしょうか?

連続投与と間欠投与にかんしては、少量ずつ、ちょこちょこ投与した方が感染症や死亡の危険性が低いようです。(鉄の投与が直接結びつくということではありません)

鉄欠乏では心房や血管によろしくないということですが、「鉄に血管石灰化抑制作用がある」ということで、”鉄”の今後の展開に注目ですね。