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院長の臨床メモcolumn

2017.01.11

透析患者さんの重症下肢虚血に対して

透析患者さん、特に糖尿病患者さんでは足の感染症、壊疽などが進行し下肢切断率が高いといわれています。

そのようなことにならないためにも当院ではフットケアに力を入れています。

重症下肢虚血は下肢閉塞性動脈硬化症が進行した状態であり、徐々に進行したものであるため、進行抑制が一番大切とされます。

足の血管は長く、細い血管があれば、PTAなど風船治療をします。

足のカテーテル治療の場合腸骨動脈といって足の付け根よりさらに上の血管に対してはカテーテル治療は確立しています。

しかし、重症下肢虚血に対しては膝下動脈の細い動脈に問題があることが多く、治療は確立していません。

カテーテルがいいのか、バイパス術(外科手術)がいいのか?

薬剤でいうとパルクスのような血管拡張剤が痛みを和らげがり、潰瘍が縮小したという報告もあります。

ひざ下動脈に対してはカテーテル治療では膨らましてもすぐに閉塞してしまい、1年後には13%しか開存率はありません。

しかし、切断を免れる可能性は73%とも報告されているため、PTA直後の血流がいいうちに皮膚潰瘍などが回復すれば望みはあると思います。

バイパスに関しては別の報告になりますが、開存率が62-83%と比較的良好ですが、術直後の死亡率が高く、要注意といわれていますし、

カテーテル治療とバイパス術の直接比較試験では、切断率、死亡率ともにカテーテル治療の成績が良好と報告されています。

早期発見、早期治療は非常に大切ですが、カテーテルやバイパス術にせよ、したらいいというものでもありません。

その判断は常に悩まされます。