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院長の臨床メモcolumn

2011.09.06

透析患者さんのクレアチニン

透析患者さんのクレアチニンについて迷っていることがあります。

ほとんどの方は慢性腎不全でかかりつけ医からクレアチニンが悪くなると透析になるといわれていると思います。

6mg/dl以上になったらシャント手術が必要ですとか、8mg/dlになったら透析が必要ですなど。。。

ですから患者さんからすると「クレアチニン=悪者(尿毒素)」というイメージが高くなっています。

その後、透析すると突然、クレアチニンという言葉はあまり出てこなくなります。

検査はしますが、おそらく検査説明にしてもヘモグロビン、リン、カリウムを中心とした結果説明をされていることだと思います。

患者さんは透析してもクレアチニンが気になります。今まで一番気を使っていた項目なのですから。。

ある患者さんが「クレアチニンが上昇してきた。また透析前の状態になるのではないか。クレアチニンが上がってきたどうしよう。」といいました。

そこで医者が「クレアチニンは尿毒素ではないから上昇しても心配いりません」

実際、クレアチニンは筋肉で産生されるので尿毒素ではありませんし、筋肉量や栄養状態の指標になるので悪いものではなく、ある程度多い方が患者さんの生命予後がいいという結果があります。

そうなると・・
患者さんはクレアチニン13mg/dlまで上昇してしまった・・
となりますが
医師はクレアチニンは悪いものではないから高くても心配いりませんよ。

という会話になります。

それって納得できるのかなあって思います。

何年もクレアチニン、クレアチニンっていわれてきて、いきなり悪者ではなく栄養の指標になるから大丈夫って言われても、自分が患者の立場なら理解できません。

実際、透析患者さんの栄養状態の指標にクレアチニン産生速度というものがあります。

でも栄養の指標や透析効率はクレアチニンがなくても測定できます。

クレアチニン測定は不要とは言いません。しかし患者さんからの立場からすると混乱を招きます。

僕の迷いはどういう風に患者さんにクレアチニンを理解してもらうのか、それとも理解して頂くよりもあえてクレアチニンを無視して違う指標を説明しておくべきなのか。。。

おそらく、同じように感じておられる方もいるのではないでしょうか?