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院長の臨床メモcolumn

2019.10.07

透析患者さんと認知症リスク

透析フロンティアという雑誌があります。

その10月号に透析患者における認知症について掲載がありました。

CKDや透析では認知症の有病リグが高いと言われており、前向きな観察研究ではクレアチニンクリアランス45未満で、

腎機能性状の方と比べて約2倍有病率が増えると報告されています。

透析医学会では1000人当たり、認知症の新規発症は1000に当たり、30-35人、1年に発症するようです。

1施設100人の透析施設であれば、1年あたり、3人くらい新たに認知症になるということになります。

しかし、不思議なことに透析期間が長い患者さんほど、認知症の発症危険度が減ると報告されています。

透析期間が長いということは、長生きということでもあり、食生活や運動生活を守っている証拠かもしれません。

気になった点は、血液透析では脳血流の低下により認知機能が低下するかどうか?

透析直前と透析中と透析後の認知機能テストを行った報告によると、透析中に行われた認知機能テストでは一時的に低下したようですが、

透析後のテストでは直前の結果と同様だったようです。

血流低下により影響はあるようですが、明確なことは言えないようです。

ここからは私見ですが、

血液透析患者さんは週3回、ほぼ決まった時間に受診されます。

決まった時間に受診するということは、生活リズムが一定しているということです。

また、それ以外にも、起床、着衣、食事、準備など生活面での規律も必要になってきます。

それ以外にも患者さん同士、スタッフとの会話により、外界と接することで認知症の進行予防や出現抑制につながっている面もあると思います。