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院長の臨床メモcolumn

2021.04.29

腎性貧血HIF-PH阻害薬エベレンゾの講演

自治医科大学埼玉医療センター腎臓内科森下教授のウェブ講演会の感想。

 

GFRが30未満になると約30%、15未満になると約85%の方が腎性貧血になる。

 

エベレンゾはHIIF-PH阻害薬の商品名のひとつである。

5種類の中で現在唯一長期処方が可能となっている。

この薬剤はEPOの生成を促し、鉄の利用、つまり、鉄の放出、鉄の輸送、吸収、再利用と2つの作用を有している。

特に注目すべきはTSATが20%未満と低く、フェリチンが100以上と高い、いわゆる鉄の囲いこみを生じている症例にも効果をきたす可能性がある。

また、臨床試験ではCRPが高い症例にも効果を認めている。

これらの2点はいままでのESAと比較すると利点があると考える。

 

他にも、ヘモグロビンサイクルをきたすような症例にもヘモグロビンの安定性によりCVDイベントの発生を抑制できる可能性がある。

 

また、エベレンゾは投与1か月後にはヘモグロビンが上昇し、鉄やフェリチンが低下することから、比較的効果が早く出現すると思われる。

 

HIF-PH阻害薬はこれからの薬でまだまだ実績は少ないが、副作用に留意しながら使用すれば利点が高いと期待される。