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院長の臨床メモcolumn

2021.05.29

腎性貧血の講演

・Hb低下で末期腎不全になりやすいのか?

  1. CHOIR試験ではHb高値群で心血管イベントのリスクが上昇。また、死亡リスク、心不全での入院リスクも上昇(Hb高値群=13.5以上目標)
  2. CREATE試験では、心不全など心疾患を除いた試験。Hb高値群とHb低値群との比較。統計的な優位さではないが、Hb低値群(Hb10.5-11.5)のほうが心血管イベントリスクと末期腎不全進行リスクが減少
  3. TREAT試験では、Hb高値群のほうが脳梗塞リスク上昇するも、QOLは上昇

⇒上記の試験では3試験ともにESA量は多くなっている

・ESA量が多いほうが予後よくないのでは?

  1. ESA静脈投与では生理的なEPO濃度をはるかに上回る。
  2. ESA抵抗指数であるERIが高いと、予後は悪い
  3. 同じ大量のESA投与量でも、Hbが低くて、ESAが多いほうが予後が悪い。ESAが多くてもHbが維持できていれば決して予後がいいわけではない。

・ESA抵抗性の大きな問題点は?

  1. 炎症の存在⇒炎症によりEPO産生が低下する⇒赤血球産生が低下

鉄動態⇒鉄利用低下により鉄の囲い込みが生じる⇒赤血球産生低下

・鉄は投与すべきかどうか?(PIVOTAL試験)

⇒TSAT40%以上、フェリチン700以上の積極的鉄補充群のほうが予後が改善

=鉄の大量補充がESA抵抗性を減弱させた可能性