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院長の臨床メモcolumn

2020.06.29

レムデシビルの吸入薬

(概要)

・レムデシビルは点滴として現在中等症以上の新型コロナ感染症に対して使用されている

・新たに、レムデシビルの吸入剤も開発、8月治験開始される。しかも、中等症までの患者にも使いやすくするためネブライザーによる吸入剤が開発された。

・レムデシビルの適応範囲を最大化するため、乳幼児や妊婦、末期の腎疾患患者などを対象とする臨床試験も始める。

 

(感想と印象)

・以前にもこのブログで述べているが、新型コロナウイルス感染症に対する軽症の治療薬が確立されていない。また、重度の慢性腎臓病や透析患者に対しては重症であってもレムデシビルは使用できない。

・現在、唾液を用いたPCR検査や抗原検査など検査方法が拡充されているが、治療法に関してはまだ治験段階であることが多い。特に、最も患者数が多い軽症に対する治療薬がないのは患者を不安にするものである。

・検査方法が確立され、治療法の選択が可能となれば、患者の負担はずいぶん減るだろう。軽症に対してはアビガンの適応が待ち望まれたが十分な研究結果が出なかった。軽症は自然治癒する可能性も高いとはいえ、中等症、重症化する恐れもある。治療により、少しでもウイルス量が減少することで、感染拡大も防止できる。濃厚接触の時点、インフルエンザのタミフルなどのように予防的投与ができれば理想である。個人的な感想ではあるが、アビガンにはそのような予防的投与も期待されたが臨床の場に出てこないのは残念で仕方ない。

・レムデシビルの吸入薬により腎臓、透析患者にも使用が可能となる可能性があることは朗報であるが、ネブライザー吸入をするという行為自体が濃厚接触に当たる可能性があることは問題点である。