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院長の臨床メモcolumn

2012.11.09

エルカルチンと運動機能

今年の透析学会では多数のエルカルチンの演題がありました。

エルカルチンというと「貧血の改善」、「こむら返りの減少」、「心機能の改善」が中心です。

そのなかで、1演題だけ「運動機能」についての報告がありました。

エルカルチン600mg内服3ヶ月間での運動機能が変化したかどうか?

その研究では運動機能を「10m歩行速度」、「膝関節伸展筋力」、「握力」、「片足立位時間」などを用いていました。

たかが3ヶ月間で運動機能がどう変わるか?

上記のもので変わらなかった運動もありますが、特に「10m歩行速度」がよくなっていました。

内服群では投与前9.15秒⇒⇒⇒投与後8.3秒と早くなっています。

内服していない群では投与前8.79秒⇒⇒⇒投与後9.15秒とやや遅くなっています。

症例すが25例ではありますが、10m歩行速度は上昇しています。

筋肉とカルニチンの関係は、筋肉内のカルニチン量が少ないほど、運動能力が悪化するという報告もあります。

ですのでエルカルチンなどで体内の血清総カルニチン濃度が上昇すると体の動きがよくなり、QOLが改善するという海外論文の発表もあります。

「運動」という視点からもエルカルチンは「体をサポート」する重要な薬剤だと考えます。