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院長の臨床メモcolumn

2020.06.15

インフルエンザ迅速検査陰性患者への抗インフルエンザ薬の投与

(概要)

・毎年インフルエンザの検査を行うが、疑っても結果が陰性のことがある。

・最近のインフルエンザキットの感度は94%以上と高いものが多い

・キットによるが、十分なインフルエンザウイルス量が検出されないうちの検査をしている可能性はある。

・インフルエンザ流行期にインフルエンザを的確に診断する必要があり、患者本人だけではなく、家庭内感染、学校などの集団感染を予防するためにも積極的に迅速検査を行っている。

・検査前診断でインフルエンザを疑い検査した場合、陽性のことが多い。その場合は、前回のような予測スコア、ワクチン接種歴、周囲の感染状況を加味して判断する。

・一方で、疑っても陰性のこともあり、さらに、陰性だろうと推測して検査を行ったところ、陽性であったということも数少なくはある。

・ある報告では、インフルエンザ迅速検査陰性の患者さんの中で、臨床的にインフルエンザの可能性が高い患者さんに対して抗インフルエンザ薬を投与したところ、約80%で症状が回復したと報告している。

(印象と感想)

・一番問題な点は、「迅速検査で陰性という結果だったが、実はインフルエンザに感染していた」ということ。

・インフルエンザは自然に治癒することがほとんどであるため、実情は把握しづらいが、発熱などの症状が遷延している場合は、実はインフルエンザではなかったのかと推察することがある。

・今冬、前述の通り、インフルエンザの鼻腔検査が安易にできない状況である。

  • 予測スコア
  • 患者の周囲のインフルエンザの状況
  • ワクチンの接種歴

上記を総合的に判断し、抗インフルエンザ薬を投与する可能性がある。

検査をせずに、治療薬を出す問題点は、

  • 抗生剤の過剰投与
  • 抗生剤の副作用、態勢の問題
  • 検査をしないということはそもそも「インフルエンザが流行っているかどうかすらわからない」という感染状況の把握がしづらい。
  • インフルエンザという確定診断しづらい状況で、「インフルエンザの可能性が高いということ」で出席停止や出勤停止などの指示が必要となること。